ほんじゃーねっと

おっさんがやせたがったり食べたがったりする日常エッセイ

心斎橋「味べい」のカツ丼

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ランチは大抵、会社周辺のお店で食べます。基本的に頼んだものを残すことはないのですが、これまでに何度か「やばい、これ残しちゃうかも...」というピンチに追い込まれたことがあります。

そのうちの1つが、前職で行きつけだった心斎橋のカツ丼と天丼の店「味べい」で訪れました。ここは卵とじが大変おいしくて、中でも天とじ丼を気に入って通ってました。主力のカツ丼もよく食べてました。

丼のサイズは並盛りと大盛りがあり、いつもは並盛りを頼んでました。大盛りを見たことはありませんでしたが、並盛りでも十分ボリュームがあり、満足できる量でした。

ある日、とてもおなかが空いていたので、軽い気持ちでカツ丼を大盛で頼んだんです。想像していたのは牛丼チェーンの大盛りです。余裕で食べ切れるはずです。

「カツ丼大盛りでーす」

出てきたのは、盛りすぎて丼鉢に入ったボールみたいになってるカツ丼でした。カツ丼ボールです。

そのボールが2つ、カウンターにドドンッと置かれました。

何ということでしょう、調子にのったのはわたし一人じゃありませんでした。同僚と二人で行き、二人とも大盛りを頼んでたのです。助けを求めて横を見たら、向こうも同じ顔でこっちを見てました。

とはいえ頼んでしまった以上、弱気な素振りを見せるわけにはいきません。 「大盛りを頼むからには残さない」のがルールです。「おまえら食べきれるんやろな?」という店主の視線を感じる気がします。先に量を聞いておけばよかった...。

「ま、まあ...期待以上のボリュームだね...はは...は」と二人で動揺を隠しきれずに垂れ流しつつ、ガツガツ食べ始めました。

「脳が腹いっぱいだと気づく前に食べきるんや!」

そう、満腹だと気づくまでは、満腹じゃないのです。アホの発想ですが、冷静さより勢いです。

「おかしいな、半分は食べたはずなのになぜか並盛1杯分くらい残ってる...」

「ひ、羆落とし、羆落としでスペースを空けるんや!」

「もうだめだ...先にいってくれ...あ、チームのみんなに謝っといて...」

と励まし合ったり諦めかけたりしながら、どうにか2杯とも食べきりました。いや、正直最終的に食べきれたんだったかどうか、記憶がちょっと曖昧なのですが、その後も通ってたので、多分食べ切れたんだと思います。

帰りはちょっとでも腹ごなしになるよう、うーうー言いながら大きく遠回りして会社に戻りました。

丼ものの大盛りは頼む前に量を確認しましょう、というお話でした。