Internet of Things(モノのインターネット)とは、 これまでの人が発信し、人が受けとる「人のインターネット」に 「モノ」が加わり、モノからモノ、モノから人、人からモノへの 情報のやりとりが可能となった状態を指す言葉だ。
例えば個人レベルでは車で自宅に近づいたら自宅のエアコンが 部屋を暖め始める、プランターの水分が減ったら最適な量の水が 補充される、商用レベルでは納品した機械が自身の劣化を判断して メーカーの管理システムに通知する、注文状況に応じて工場のラインが 切り替わる、といった用途が考えられる。
携帯電話がスマホになり、GPSで位置情報が分かるようになったり、 歩数や移動速度によって消費カロリーが分かるようになったりしたのと同じように、 これまで単独・手動で使っていたモノがスマートになっていく、 と考えると分かりやすい。
センサーとネットワークによる「状態の通知」と「遠隔操作」
IoTの要は「センサー」と「ネットワーク」だと考えている。 モノがセンサーによって自身の状態を把握し、それをネットワークを通じて 他のモノなり人なりに通知する。同じくネットワークによって遠隔から命令を 受けて行動を起こし、状態を変える。
例えばコップに傾きセンサーや温度センサーをつけることでいつ飲まれたか、 もう飲める温度かをスマホに通知する、なんてことができるようになるかもしれない。 これまで人がいちいち確認したり判断したりしていたモノの状態をセンサーが感知し、 最適な行動を提案したり、自身で実行したりすることができるようになる。
ネットワーク、特にインターネットに接続可能となる、ということも重要だ。
例えばコップメーカーが各センサーからの情報を収集して、国別、男女別で 最も美味しいと感じる温度は何度かを分析し、その情報を元にこれから そのコップを使おうとしている持ち主にとって最適な状態を保つ、といったように、 センサーによって得た情報を元にそのモノが提供できる価値を高めることも可能となる。
Web系開発者の役割もきっと広がる
開発者としてこのIoTにどう関わり、どう楽しむことができるか。
モノのインターネットを実現するには、様々なモノがインターネットに 接続可能となり、互いに連携し、遠隔で操作可能となる必要があるので、 ある程度統一された規格、既存のメジャーな技術で構成されるようになると 思われる。LinuxOSが積まれて一般的な言語でプログラムを作ることができ、 そのプログラムがWebAPI経由でサーバと通信して情報の送受信を行う、 といったことが可能になるのではないだろうか。スマホのアプリを開発するような 感覚でモノを操作するプログラムが作れるようになると予想している。
Raspberry PiやArduinoのような小型コンピュータで既に入手・実現可能と なっているので、これらを購入すればスマートな何かを今からでも 生み出すことができる。
Web系開発者なら、モノを直接動かすプログラムを作るのではなく、 モノとモノ、モノと人とを繋ぐ連携Webサービスを作る、という関わり方が 強みが生かせて良いと思う。 複数種のモノからの情報を集めて分析したり、IFTTTのような既存の Webサービスと連携するサービスは必要となってくるはず。
開発者としては、 自分や家族が実際に日常使っているモノを便利にするものが 作れるようになると大変うれしい。 バーチャルではない、本当の意味でのモノづくりをしている、 という実感を持てるようになるのではないだろうか。
- 作者: 日経Linux
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