ほんじゃーねっと

おっさんがやせたがったり食べたがったりする日常エッセイ

AIの力を借りて「ぬり絵」作りに挑戦

画像生成AIで遊んでいたら、昔子どもたちのためにぬり絵を自作しようとして失敗した時のことを思い出した。

うちの子たちはぬり絵に対する情熱が熱すぎて、ぬり絵本を買っても買ってもすぐに塗り終えてしまう。塗れば塗るほど技術は上がって塗る速度は速くなっていく。 私はぬり絵本を供給する側として、週末が来るたびに本屋をまわって新しいぬり絵本を探し続けなければならなかった。

そんなぬり絵探しの日々に疲れた私は「見つからないなら描くしかない…!」と自らぬり絵を生み出す方法を考えるようになる。

手っ取り早いのは子供たちの好みの絵をサラサラっと描いて「はい、塗り絵だよ」渡すことだろう。好きなキャラのぬり絵を描いてやれば大喜びだ。 その画力があれば。

残念ながら私はそのような画力は持ち合わせていなかった。一応ものは試しと子どもたちが好きなディズニープリンセスを描いて渡してみたら、案の定描かれているのがどのプリンセスかすら伝わらず見向きもされなかった。

そんな仕打ちも受けつつ、画力に頼らない方法を求めてたどり着いたのが「写真を線画にする」という方法だ。写真画像を読み込ませるとその輪郭だけを抽出して線画だけの画像にしてくれるツールをがんばって作った。

左が元写真で右が線画

このツールを使うとこんな画像ができる。

梅田のビル群

公園

大人向けの塗り絵という感じの画像ができて私としては大変気に入っていたのだけど、子どもたちにはちょっと伝わらなかったらしい。 「かわいくない」と一蹴されてしまった。

…確かにかわいさは考慮してなかった。

こうして作戦は失敗し、その後もぬり絵本を探しては買い続ける日々が続いたのだった。

それから数年が経ち、今。

私は「画像生成AI」という足りない画力をカバーしてくれる存在と出会った。あらゆる画像を想いのままに生み出せる力を手に入れたのだ。 AIの画力を使えば、あの子たちが満足するぬり絵だって作れるはずである。

よし作ろう。

アニメっぽい塗り絵なら「にじジャーニー」が作りやすい

今回使う画像生成AIはお気に入りのMidjourneyではなく、その派生でアニメ画像に特化した「にじジャーニー」だ。Midjourneyのアカウントがあれば使うことができる。

nijijourney.com

にじジャーニーの良いところは日本語で書いたプロンプトを認識してくれるというところだ。いちいち翻訳しなくていいのはありがたい。

「/imagine 塗り絵,魔法」というふうに、「塗り絵」というキーワードとともに望むシチューションを表す言葉を入れるだけでこんな画像を作ってくれる。

まさに求めていた塗り絵っぽさ

一を聞いて十を知る。にじジャーニーは仕事ができるやつだ。 出来上がる画像はかわいさ、難易度ともに子どもたちが満足してくれそうなレベルである。

いざ、ぬり絵制作

早速にじジャーニーを使ってぬり絵を作っていく。 どうせなら市販のぬり絵本のように、ストーリーがあった方が良いだろう。今回は童話「赤ずきん」をテーマにして作ることにする。

赤ずきんのストーリーはこんな流れ:

  1. 赤ずきんちゃんがお使いを頼まれて森のおばあさんの家へと向かう
  2. 途中で一匹の狼に遭い、唆されて道草をする
  3. その間に狼はおばあさんの家へ行き、おばあさんを食べてしまう
  4. 赤ずきんちゃんがおばあさんの家に到着し、おばあさんに化けていた狼に食べられてしまう
  5. 満腹になった狼が寝ているところに猟師が通りかかり、腹の中から二人を助け出す

さてこれらの文章をにじジャーニーに渡すだけで良い感じの画像ができるなら簡単なのだけど、まだそこまでのことはできないらしい。AIに描いてほしい状況がうまく伝わるように文章を工夫する必要があるのだ。この辺りがAIを使う側の腕の見せ所なのだろう。

しかし私はAI初心者。がんばってみたのだけど、どうしてもストーリーに合う絵ができなかった。 なのでしかたなくストーリーの方をアレンジすることにした。ぬり絵メインなのだからストーリーはそれっぽければ良いのだ。

そうしてできあがったのがこんなお話のぬり絵である:

ある森に赤ずきんちゃんと呼ばれる女の子が住んでいました

赤ずきんちゃんはある日森で子狼と出会います。お腹をすかせているようだったので、パンを分けてあげました

狼は赤ずきんに懐き、ついてまわるようになりました。そしてどんどん大きく育ち、赤ずきんちゃんを森の危険な生き物や街の男たちから守りました

二人は赤ずきんちゃんがおばあさんになっても変わらず仲良く幸せに暮らしました

時が経ち、やがて一人になった狼。赤ずきんちゃんとともに過ごした森を守り、寂しくなれば二人の小屋で眠ります。眠ればまた夢の中で赤ずきんちゃんに会えるのです

一方赤ずきんちゃんが狼に食べられなかった結果、物語に登場する機会を失った猟師。役割がなくなった彼は平和な人生を過ごし、静かに森に還りました

原作と全然ちがう話になっちゃったけど、何となく童話っぽくなったので良しとしよう。

せっかくのオリジナルストーリーなので、猟師の顔を自分の顔にしてみた。自分が描いた(描いてないけど)作品に登場する、というのを一度経験してみたかったのだ。

AIでぬり絵づくり…意外と難しかった

作ってみた感想としては、ぬり絵づくりは思ったよりも難しかった。ぬり絵に限らず画像生成で細かいシチュエーションを決めて作るのはなかなか難しいようだ。

AIにも「赤ずきんと言えばこう!」というこだわりがあるのか、わりとこちらの指示を無視した画像を出してくる。どこが譲れてどこが譲れないのかを見極めつつ、言い方を優しくしてみたり言葉を変えてみたりして歩み寄る必要があるのだ。まるで思い込みの激しいイラストレーターを相手にしているようだった。

あと、複数の人物を登場させるのが苦手なのか、うまくいかない。赤ずきんちゃんとおばあさんと狼を描きたいのに、三人ともケモミミがついていたり、赤ずきんちゃんとおばあさんが同じ人物になっていたりする。

私がまだ知らないだけで良いやり方があるのか、AIの苦手分野なのかは分からないが、引き続き解決方法を探してみたい。

子どもたちにお披露目

さて、ひとまず良い感じのぬり絵ができたので喜び勇んで子どもたちに披露してみた。

だが彼女たちがぬり絵を塗ってくれることはなかった。 ぬり絵にハマっていたのは数年前。とっくの昔に卒業しているのだ。

まあやる前から分かってました。分かってても、あの時失敗したぬり絵自作作戦を完結させたかったのだ。だから今私は満足している。

我が子らにはちょっと遅かったが、小学校低学年くらいの子供ならばきっと楽しめると思う。ぜひオリジナリティ溢れるぬり絵を作って親子で楽しんでもらいたい。