家族で海外旅行に行きたい。
ハワイとかヨーロッパとかタイとかオーストラリアとか家族で行ってみたい場所がいくつもある。行く気もあるし休みも取れそうなのだけど…問題は子どもたちがカケラも興味を持ってくれないということだ。
あの夢の国ディズニーリゾートですら「まだいい」と断る手強い娘たちである。このままではディズニーリゾートの楽しさも海外旅行の楽しさも知らないまま大きくなってしまいそうで不安だ。 どうにかして興味を持ってもらい、みんなで旅行に行きたい。
楽しそうな旅行写真を見れば行きたくなるのでは?
「旅行に行きたい!」という気持ちがどういう時に湧いてくるのかと考えてみた。
私たちは日頃から海外旅行のことを考えているわけではない。「そういえば海外旅行って楽しいよね」と思い出すようなきっかけがあり、それからむくむくと旅行したい欲が盛り上がってくるのだ。
イメージしやすいのは旅行から帰ってきた友人に旅先で撮った楽しそうな写真を見せてもらった時。海外ならではの豪快な料理とか、現地でしか見られない景色とか、非日常を楽しんだ話を聞きながら写真を見るうちに「いいな~私も行きたいな~。よし次の休みは絶対どこかへ行こう!」とすぐにでも旅行に行きたい気持ちになっている。
我が娘たちもきっと自分が海外旅行を楽しんでいる具体的なイメージが湧いていないだけで、誰かが楽しんでいる写真を見てイメージできるようになれば旅行に行きたくなるはず。
そんな羨ましくなるような楽しげな旅行写真がないかとスマホのカメラロールを遡ってみたら、5年前に行ったフィリピン出張の写真が何枚か出てきた。私も写っている。
しかし仕事だからかどの写真の私も顔に「さっさと帰りたい」という気持ちが出てしまっていて全然楽しそうじゃない。こんな目が死んだ写真を見せてしまったら逆効果だ。二度と旅行に興味を持ってくれなくなる。
他にも探してみたけど結局良い旅行写真は見つからなかった。
手持ちの写真が使えないならしかたない。
捏造しよう。
写真がないなら作ればいいじゃない
今はどんな写真だって簡単に生み出せる時代。
必要な写真がないなら作ればよいのだ。画像生成AIを使えば、行っていない旅行の写真を作ることなど造作もない。
AIを駆使して「あたかも楽しい海外旅行に行ってきたかのようなフェイク旅行写真」を作る。それを娘たちに見せて興味を抱かせ、旅行に誘い出すのだ。 詐欺の手口のような文章になってしまった。
今回は私が海外旅行をめちゃくちゃ楽しんでいる写真集を作ってみようと思う。身近な人間が楽しんでいる姿の方がイメージしやすいだろう。 パパが一人で楽しそうに観光したり美味しいものを食べたりしている写真を見れば娘たちもきっと旅行に行きたくなるはずだ。
私ではなく妻の写真を使うことも考えたのだけど、なんとなく怒られそうな予感がしたのでやめておいた。
画像生成AIで指定した人物が写った写真を生成する方法
今回はいつもタイトル画像の作成でお世話になっているMidjourneyを使用する。他の画像生成AIでも多分似たような方法で作れると思う。
Midjourneyは「こういう画像がほしい」とテキストを渡すと、それに合わせて写真やイラスト画像を作ってくれるツールだ。基本的な使い方はこちら。
Midjourneyで画像を作る際にパラメータで「この写真に写っている人物を使う」と指定すると、その人物を画像に登場させてくれる。こちらの記事を見ながら試した。
実際試してみると最初のうちはなかなか思い通りの写真ができなかった。 写真を作ること自体は簡単なのだけど、自分が期待したシチュエーションにならないのだ。テキストを調整しては画像を生成し…また調整して…ということを繰り返して徐々に求める形に近づけていく。
コツを掴むとどう書けばどんな画像ができるのかが分かるようになってきて楽しい。英語力と語彙力がちょっとだけ上がった気がする。
完成したフォトアルバム
今回の行き先は先日オリンピックが開催されたフランスである。 それらしい旅行シチュエーションを思いつく限り写真にしてみた。
大誤算
若干不自然なところはあるものの、それっぽい旅行写真になっていると思う。その点については期待通りだ。
大きな誤算だったのは写真に写っているのが私ではなく…「私に似た別人」になっているということだ。
おそらくMidjourneyのフェイク画像対策により、ベースにした写真と完全に同じ顔にはならないように配慮されているのだろう。今回ばかりはその配慮はいらなかった。
結果できあがったのは、パパに似た知らんおっさんが楽しそうに旅行しているフォトアルバムである。果たしてこれを見た娘たちが旅行に行きたい気持ちになってくれるのか…ちょっと…いやかなり不安がある。
そんな失望を知ってか知らずか、写真の中のおっさんたちはみんな楽しそうだ。
その姿を見ていて幸せな気分になってくるのは、彼らが自分に似ているからなのか、それとも自分が生み出した子どものようなものだからなのか。 見た目は実際の私よりちょっと年上だけど。
アルバムを編集しているうちにそんなおっさんたちが何だかかわいく思えてきて、気がつけば写真のシチュエーションのためではなく彼らの良い笑顔を引き出すために何度も写真を作り直していた。
このまま娘たちに見せたとしても、案外良い反応が返ってくるかもしれない。